電気代抑制の救世主となるか!?ペロブスカイト太陽電池
実用化間近な「ペロブスカイト太陽電池」とは?
次世代型太陽電池として、世界から注目されているペロブスカイト太陽電池。有機アンモニウム・鉛・ヨウ素の3種類のイオンを、ペロブスカイト結晶構造で配列する材料を用いています。
環境省や経済産業省を中心に、2025年から実証や導入支援が始まりました。従来のシリコンタイプの太陽電池とは違い、薄くてフィルム状の構造をしています。そのため屋根だけでなく、壁面や窓など設置場所が豊富です。
ペロブスカイト太陽電池の特徴は、形状だけではありません。ペロブスカイト太陽電池は低温・短時間で製造可能。製造のエネルギーコストを抑えられます。そのうえ発電効率も高く、室内光でも発電可能です。
これらの特徴が評価されており、今後は次のような導入シーンも広がる可能性があります。
- ビルの外壁全体を利用した大面積発電
- 窓ガラスと一体化した建材一体型太陽電池
- 倉庫や体育館のような耐荷重制限が厳しい屋根への設置
「軽量・高効率・低温製造」という特性は従来のシリコンタイプ太陽電池では対応できなかった領域。そのため、世界から次世代型太陽電池として注目されています。
ペロブスカイト太陽電池の実用化の時期
ペロブスカイト太陽電池は実用化直前の最終段階にあるといえます。環境省と経済産業省では、実証・導入支援から、生産体制、普及までを具体的な目標として掲げています。技術の成熟と国の後押しが同時に進んでいることで、実用化へのカウントダウンは確実に進行中です。
(引用)次世代型太陽電池戦略|経済産業省
これらの動向・ロードマップを踏まえると、「いつ市場に登場するのか」という期待は、これまでになく高まっています。
【環境省】導入支援事業は2025年から開始
環境省では、ペロブスカイト太陽電池の実装・導入支援事業を開始しました。2025年の事業予算は、50.2億円です。
従来型の太陽電池では設置が困難である場所が、導入支援事業の対象です。例えば、体育館やスタジアムの屋根のような曲がった場所です。また施工・導入後の運用に関するデータ提出が必要とされています。
ちなみに公募はすでに終わっています。来年度以降については情報がまだありません。
【経済産業省】GW級の生産体制は2030年までに
ペロブスカイト太陽電池の実用化に向けての動きは、実証や導入支援だけではありません。経済産業省はペロブスカイト太陽電池の生産体制について、2030年を待たずにGW(ギガワット)級の構築を目指しています。
とくに原材料のヨウ素は、日本で採掘できるため注目です。原材料の生産・供給・製造装置などの重要なものは、国内において強靭な生産体制を確立させようとしています。
【経済産業省】国の長期ターゲットは2040年
需要創出目標として、経済産業省では2040年に約20GW(ギガワット)導入を掲げています。2030年までに量産技術や生産体制を整備し、需要を創出します。それによって2040年には、国内・海外市場に大きく展開する目標です。
例えば東京都では、2040年に2GWの導入目標を策定。都有施設への先行導入で、実証や開発を支援する予定です。
さらに国としては発電コスト水準として、2040年に10~14円/kWh以下を目指します。実証・開発により、従来のシリコンタイプ太陽電池に代わる新技術として、普及を目指します。
ペロブスカイト太陽電池のメリット
ペロブスカイト太陽電池が注目されているのは、以下のメリットがあるためです。

このメリットによって、どのような未来が得られるでしょうか。
軽量で設置場所が選びやすい
ペロブスカイト太陽電池は、従来のシリコンタイプと違って薄いフィルム状に加工できます。そのため軽量で、設置場所を選べるのがメリットです。
- 耐荷重の問題を抱える屋根
- 高層ビルの外壁
- ベランダや窓
屋根に限らず、建物の空き面積で発電できるのがペロブスカイト太陽電池のメリット。導入を諦めていた建物でも、ペロブスカイト太陽電池なら設置できる可能性があります。
主原料のヨウ素は日本で採掘可能
日本は世界有数のヨウ素(I)産出国。ペロブスカイト太陽電池にはヨウ素が必要なため、安定供給できるのは大きなメリットです。国内で採掘できれば、コストは安定します。
- 調達コストの安定
- 輸送コストの低減
- 日本での量産体制の構築
エネルギー資源が少ない日本でも、ペロブスカイト太陽電池なら国産化できます。脱炭素と経済性が両立できるため、日本に向いている新技術です。
エネルギー変換効率が高い
ペロブスカイト太陽電池の材料は、光吸収力が強い特徴があります。そのため従来のシリコンタイプの太陽電池に劣らない、エネルギー変換効率が期待されています。この特性は土地が狭く建物が密集する日本にとって、極めて有利です。
ペロブスカイト太陽電池の実用化・普及によって、以下のような未来が期待できます。
- 都市ビルの窓ガラス発電が一般化
- 極小住宅での十分な発電量確保
- 公共施設の外壁・外装からの安定電源確保
エネルギー変換効率が高いと、少ない面積でも十分な電力を生み出せるのが特徴です。結果として、都心部でも再生可能エネルギーを増やせ、エネルギー自給率の向上につながります。
ペロブスカイト太陽電池の実用化のデメリットや課題
ペロブスカイト太陽電池にはメリットもあり、まさに日本に向いた新技術です。しかしデメリットもあり、課題を解決しなければ実用化・普及しません。
- 鉛が含まれているため安全性への配慮が必要
- 耐久性・寿命が短い
- 量産技術が未確立
これらのデメリットは、どのように解決するべきでしょうか。
鉛が含まれているため安全性への配慮が必要
ペロブスカイト太陽電池の材料には、鉛が含まれています。もしも太陽電池に傷が付き破損した場合、鉛が漏れ出すリスクは否定できません。鉛の毒性は、血液・知能・発達・神経・腎臓などに影響があり、発がん性もあります。
そのため国や企業は、以下の開発を進める必要があります。
- 鉛の漏出防止
- ガラス基板による太陽電池の耐久性向上
- 鉛の代用としてスズを使った太陽電池の研究
例えば先述したとおり、京都大学ではスズを使ったペロブスカイト太陽電池の研究が進んでいます。デメリットである毒性のある鉛の代わりに、スズを使い安全性への課題を解決しようとしています。今後も安全性確保のために、研究・開発は進められるでしょう。
耐久性・寿命が短い
従来のシリコンタイプ太陽電池と比較すると、ペロブスカイト太陽電池は耐久性・寿命が劣ります。ペロブスカイトは湿気・酸素・熱に弱い性質を持つためです。これは最大の課題ともいえます。
さらにシリコンタイプ太陽電池が20~30年の使用実績があるのに対し、ペロブスカイト太陽電池は実証されていない段階です。実際の屋外で20~30年使えるかは検証中で、実用化に向けて開発・研究しています。
量産技術が未確立
ペロブスカイト太陽電池は実用化に向けて、量産技術を確立しなければなりません。工場生産へ移行するための整備がまだである点も、デメリット・課題です。
- 安定した品質で生産する仕組み
- 耐久性を担保した量産方法
- 普及価格になるような量産技術
※「 エネマネX」より 転載

