マンションの避難はしごの使い方とは?事前準備・設置の仕方
マンションのベランダには、玄関から出られなくなったときや、階段やエレベーターが使えなくなったときのために、「避難はしご」が設置されています。
2階の場合は避難はしごを利用して1階に下りることができますが、それ以上の階については「脱出が可能になる階まで移動する」ことが目的となります。いったんすぐ下の階に下り、そこからより避難しやすい場所に移動するのです。場合によってはさらに下の階まではしごを使うことになるでしょう。
避難はしごは、こういった緊急時にのみ利用するため、実際に使ったことがあるという人はとても少ないのではないかと思います。今回は、マンションのベランダに設置された避難はしごの使い方についてご紹介します。
ポイントその1:避難はしごはどの部屋のベランダにも必ずあるの?
避難はしごは「避難ハッチ」と呼ばれる避難用の昇降口に取り付けられたはしごです。人が乗っても問題ないような蓋があり、普段はきちんと閉められています。はしごは、すべての部屋に必ずあるわけではなく、隣の部屋のベランダに行かなければない場合もあります。ただし、自分の部屋にはなくとも、ベランダの間にある仕切りは破れるので問題ありません。11階以上の部屋には別の火災対策がしてあり(スプリンクラーなど)、避難はしごはないのが一般的です。
ポイントその2:避難はしごの使い方
避難はしごの使い方を順番に説明します。避難はしごの使い方は蓋などに書いてあり、初めて利用する人でも大きく混乱することはありませんが、やはり事前に知っていたほうがスムーズに対応できます。できるだけ事前に確認し、覚えておきましょう。ベランダにあるようでしたら、蓋の場所だけでも確認しておくといいですね。
(1)蓋を開ける
まず、避難はしごの蓋を開けます。ただし、最初は「ロック」(あるいはチャイルドロック)がかかっているので大きくは開きません。5センチほど開け、ロックを解除します。ロックがある場所は蓋の表面にシールなどで目印がついているので、そのあたりを探してみましょう。冒頭の画像にも黄色い三角のシールが張ってあります。その真下にロックをはずす場所があります。フックやチェーンをはずせば、ロックは解除できます。
(2)蓋を固定する
ロックをはずすと、蓋を全開にすることができます。避難ハッチは決して大きいものではないため、蓋は必ず固定されるまで全開しましょう。避難ハッチの下にも蓋はあるのですが、上の蓋を開けると連動して開くようになっています。使う人は上の蓋だけを開ければ問題ありません。
(3)はしごを下に降ろす
はしごはストッパーによって押さえられていますので、これを押してはしごを降ろします。押すのは手ではなく足でも構いません。必ず「どの部分を押せばはしごが伸ばせるか」は書いてありますので、指示に従ってください。
このとき、下の階に人がいないかを確認する必要があります。ベランダの手すりに身を乗り出して声をかけてもいいのですが、ハッチを開ければ下に人がいるかいないかを確認することもできますので、よく見て、「はしごを降ろします」など声を出し注意をうながしましょう。
また、はしごの下に障害物があると、うまくはしごが伸びず、利用できない危険性があります。そのため、普段からベランダには物を置かないように気をつけなければなりません。
(4)はしごを使って下に降りる
はしごにしっかりとつかまって、ゆっくりと下の階に下ります。このとき、はしごの両サイドを持たず、ステップ部分(自分が足を乗せる部分)につかまってください。普通のはしごと違い不安定ですので、ひとりずつ、足元を確認しながら降りましょう。荷物を持っていると安定性が悪くなります。先に下の人に渡したり、誰もいなければ落としたりしておきましょう。リュックを背負ったままだと、ひっかかってしまうことがありますので注意が必要です。
もし万が一避難をすることになったら、運動靴のように脱げにくい靴がおすすめです。ベランダにはサンダルなどを置いておくことが多いと思いますが、避難にはあまり適しません。普段から避難用に古い靴などを置いておくといいかもしれません。
普段は避難はしごをほとんど気にすることがないかもしれませんが、いざというときには非常に心強いものです。ぜひ一度、ご家族全員の目で見て確認するようにしましょう。また、お子さんがいる場合には、いたずらをしてしまわないように普段から気をつけるようにしてください。ある程度の年齢のお子さんには、意味をきちんと説明し、自分たちが助かるためにも大切にしなければならないものだと理解してもらうようにしましょう。
なお、スムーズに避難するためには、避難はしごの上には何も置かない、というのが大変重要なことです。ベランダが物であふれかえってしまっている場合や、鉢植えを置いている場合などは、避難はしごの上を避け、できるだけ広々と使えるよう整理しておきましょう。