更新料の意味がわからない!支払う理由や義務について解説

賃貸物件に住んでいると、一定期間ごとに「更新料」の支払いが必要になります。

忘れたころに大きい金額を請求されるので、

「更新料って高い!」

「なぜ支払うのか、意味がわからない!」

と不満に感じる方も多いのではないでしょうか?

この記事では、「更新料を支払う理由」や「支払わなかったらどうなるか?」について解説します。

最後に、更新せず引っ越しする場合のお金の負担を減らす方法も紹介しています。

ぜひ最後までご覧ください。

 

賃貸の更新料とは「賃貸契約を更新するときに大家に支払うお金」です。

物件によってさまざまですが、賃貸の契約期間は2年が一般的です。

契約満了日が近づくと管理会社や大家からお知らせが届き、契約を更新するか検討することになります。

 

国土交通省の「令和4年住宅市場動向調査」によると、更新料は「家賃1か月分」が約77%で最も多い傾向にあります。また、更新料に消費税はかかりません。

支払い方法は、振り込みや口座引き落としなど管理会社や大家から指定されます。

契約を更新するときは、更新料以外にも「事務手数料」や「火災保険料」などの費用もかかるので注意が必要です。

 

そのため、大阪・兵庫・宮城に住んでいる方は、他の地域に住んだときに更新料という文化に驚くかもしれません。

このように、住む地域によって更新料の有無に大きな差があります。

もし、更新料の徴収率が少ない地域なのに支払う必要がある場合は、更新料が不要な賃貸物件を探すのも一つの方法です。

ただし、家賃や礼金など他の部分で高くされていないか、他の物件と比較しながら慎重に探していきましょう。

 

実は、賃貸の更新料は法律で支払いが義務付けられているわけではありません。

更新料は、賃貸物件の空室が不足していた時代に「契約を更新してくれた謝礼」として入居者から大家に支払っていたお金でした。

その慣習が現在まで残っているのが「賃貸の更新料」です。

しかし現在では、賃貸物件の供給の方が大きくなり、謝礼としての慣習的な意味合いは小さくなっています。

更新料をとる理由は物件によりさまざまですが、現在では「安く抑えた家賃の補充」など賃貸物件の運営費として徴収する大家が多いです。

また、大阪や兵庫、宮城のように地域によっては更新料の慣習がないところもあります。

ただし、更新料がない分、家賃やほかの費用が高くなっている可能性もあるので注意が必要です。

 

賃貸の更新料の法的性質について、平成23年の最高裁判所では下記のような見解を示しています。

「更新料は賃料とともに賃貸人の事業の収益の一部を構成するのが通常であり、その支払により賃借人は円満に物件の使用を継続することができることからすると、

更新料は、一般に、賃料の補充ないし前払、賃貸借契約を継続するための対価等の趣旨を含む複合的な性質を有するものと解するのが相当である。」

出典元:公益社団法人 全日本不動産協会

つまり、更新料には下記のような役割があると最高裁判所は判断しています。

  • 月々の家賃など運営に必要な費用を補充するもの

  • 契約更新に対する大家への謝礼

また、更新料は家賃の2か月分強くらいまでなら、賃貸借契約書で両方の同意があれば支払い義務が生じるとも最高裁判所が判断しています。

そのため、賃貸契約をするときの契約書は必ず細かいとこまで確認するようにしましょう。

入居者・大家にとってのメリット

【入居者のメリット】

  • 更新料を支払うタイミングで、家賃を安くしてもらえる可能性がある

  • 引っ越しにかかる手間と費用が抑えられる

  • お気に入りの住み慣れた部屋に住み続けられる

  • 更新料を払う前に引っ越せば、安い家賃で住めたことになる

賃貸物件の家賃は毎年同じとは限りません。

築年数の問題や同じ間取りの部屋でも空室期間やさまざまな理由により家賃差がある場合もあります。

そのため、更新料を支払うタイミングで、住んでいる建物内の同じ間取りの賃料を調べて、自分の家賃より安い部屋がある場合は家賃交渉も可能です。

また、引っ越しには手間やコストがかかるため、更新料を支払ったほうが引っ越し費用よりも安く済み、時間効率もよくなります。

今住んでいる部屋の住み心地がよく、気に入っている場合、更新料を支払えば住み慣れた環境を維持できるので入居者にとってもメリットの一つになるでしょう。

さらに、更新料が「月々の家賃を補充するもの」として請求されていて、

もし入居した物件が気にいらなかった場合、更新料を払う前に引っ越せば、安く抑えられた家賃で住めたことになります。

【大家のメリット】

  • 安くした家賃の補充ができる

  • 損耗したところを補修するための資金になる

  • 臨時収入を得られる

  • 入居者の収入が安定しているか判断できる

更新料を払ってもらえると、大家側は安く抑えた家賃の補助にあてられたり、損耗したところを修理するための資金として活用できたりします。

大家によっては、1〜2年に一度の臨時収入になる場合もあるでしょう。

また、更新料は入居者の「収入が安定しているか」を判断できるきっかけになります。

毎月の家賃とは別に、更新料を支払う資金力がある場合、収入が安定していると判断でき、家賃滞納リスクの回避にも繋がります。

 

更新料の支払いが法的義務ではないのだとしたら、更新料は支払わなくてもいいのでしょうか?

もし支払わなかったら、どうなるのでしょうか?

ここでは更新料の支払い義務や支払わなかった場合について、下記の2つを解説します。

  • 契約書に記載があれば支払う義務がある

  • 支払わなかったら強制退去も

契約書に記載があれば支払う義務がある

更新料が法的に義務付けられていないとはいえ、賃貸契約書に記載があれば、更新料を支払う義務があります。

契約書に更新料について記載がなければ、支払いは拒否できますが、トラブルに発展する可能性もあります。

のちのちのトラブルを防ぐためにも、更新料の取り扱いについては、入居時や更新時に大家や管理会社に確認しておくことがオススメです。

「更新料が極端に高い」場合は、契約書に記載されていても拒否できる可能性がありますが、平成23年の最高裁の判例では「1年で2か月分の更新料」が適法とされています。

一般的な「2年間で1か月分」の更新料であれば、拒否することは難しいでしょう。

出典元:公益社団法人 全日本不動産協会

支払わなかったら強制退去も

契約書に更新料について記載があれば、契約更新時の支払いは義務です。

もし、入居者が更新料の支払いを拒否したり、忘れたりしたまま住み続けると、契約違反とみなされ、大家が契約を解除する「正当事由」になります。

そのため、更新料を支払わない場合、強制退去になる可能性があります。

契約書に記載された更新料が極端に高くない限り、支払いを拒否するのは難しいため、更新料について契約書に記載がある場合は、しっかり更新料を支払って契約を更新しましょう。

 

更新せずに退去する場合は、更新料は必要ありません。

しかし、その場合は退去する旨を退去連絡の期限までに連絡するようにしましょう。

退去連絡の期限は、退去の1か月前が一般的です。

しかし、大家によって退去連絡の期限が違うため、契約書の確認を必ずしてください。

もし、連絡が遅くなった場合は、余分な家賃に合わせて更新料の支払い義務も生じるため、気をつけましょう。

 

賃貸の更新料について「支払う理由」や「支払わなかったらどうなるか」について、解説してきました。

更新料の支払いは法律で義務付けられてはいませんが、入居前の賃貸借契約書に更新料の記載があり、同意した場合は、高額すぎる請求ではない限り支払い義務が生じます。

そのため、契約書へサインする前に必ず確認するようにしましょう。

すでに契約している方は、契約書を見直して、更新料についての記載がある場合は期日までに支払うようにしましょう。

期日までに更新料の支払いをしない場合は、強制退去になる可能性もあります。

大きな負担に感じがちな更新料ですが、家賃が安くなったり、お気に入りの部屋に住み続けられたりなど入居者にもメリットがあるので、マイナスな面ばかりではありません。

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