ファミリー向け中古マンション1億円超え!! 戸建てへの需要シフトが顕在化
LIFULL(東京都千代田区)は10月23日、不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME’S」に掲載された物件データと、ユーザーが不動産会社へ問い合わせた物件(反響物件)のデータを月次で集計した「LIFULL HOME’Sマーケットレポート」(2025年7~9月まとめ版)を公表した。東京23区のファミリー向け中古マンションの平均掲載価格が初めて1億円を突破。都心部では高額マンションへの需要が拡大する一方、郊外では価格の安定性を背景に一戸建てへの需要が強まっている。
2025年9月の中古マンションの平均掲載価格は、首都圏でシングル向きが4740万円(前年同月比130.8%)、ファミリー向きが5200万円(同129.4%)、近畿圏でシングル向きが2722万円(同129.8%)、ファミリー向きが3129万円(同116.5%)となり、いずれも2021年2月の計測開始以降の最高値を更新した。
特に、東京23区(シングル向き6183万円、同134.5%/ファミリー向き1億167万円、同150.6%)や大阪市(シングル向き3385万円、同146.8%/ファミリー向き3402万円、同137.2%)における価格上昇が顕著となっている。
LIFULL HOME’S総研の渋谷雄大さんは、東京23区の中でも千代田区、中央区、港区、文京区、渋谷区、新宿区の6区は1億6097万円(同152.5%)に達する一方、東京市部では3423万円(同106.8%)にとどまっている結果から、「都心と郊外での価格の二極化が鮮明になった。この傾向は大阪市においても同様」と指摘する。
また、東京・大阪の都心部では、2024年1~3月期頃から築浅物件の掲載比率が増加し、価格上昇要因の一つとなっているとして、「新築物件が高額で分譲される状況を受けて、新築物件と比較検討されやすい周辺の築浅物件が強気の価格設定で売りに出されるケースも多く、築浅物件を中心にキャピタルゲインを目的とした取引が増えている可能性もある」と分析している。
中古一戸建て購入へのシフトが顕在化
一方、2025年9月の中古一戸建ての平均掲載価格は、首都圏で3798万円(前年同月比107.2%)、近畿圏で2545万円(同103.9%)となった。東京都の中古一戸建ての平均掲載価格は6138万円で前年同月比115.7%と、中古マンション(同145.4%)に比べて安定的に推移している。
渋谷さんは、「ファミリー層のニーズは賃貸から購入へ、特に一戸建てへとシフトしている」との見解を示し、その背景として、「2022年7~9月期を基準(=100)とした東京都のファミリー向き物件の問合せ数は、賃貸が92に減少する一方、購入は132と拡大。その内訳は、中古マンションが127、中古一戸建てが141と、中古一戸建てへの関心が強まっている」と述べている。
※「新建ハウジング」より 転載

